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こぼれ話 その545 カピバラ 2025.1.3
2025/01/03
人の多い観光地にはあまり行かない方だ。
今日に出会った哺乳類はリス、運が良ければカモシカ、
どちらにも出会わないことが当たり前、たまの休日にはそんな山に行くことが多い。
昨年初夏に青いスイレンを撮ろうと北川村のモネの庭に行った。
この冬は打たせ湯のカピバラを撮ろうと、とべ動物園に行った。
皆さんスマホで写真を撮っていらっしゃる。
カメラ、それも望遠レンズを構えている人はかなり少ない。
望遠を持っている人は家族連れやカップルでなく、たいがい単独である。
カピバラがプライベートを過ごす小屋から出てきて、
飼育員さんが小さな池のようなところにある蛇口からお湯を出す。
三頭のカピバラは今日の打たせ湯を知っているのか、
土の運動場を少し散歩してから、
湯気がほんのりと上がっているコンクリートの湯舟に向かう。
ぬるめの湯のようだが、湯に打たれて気持ち良さそうにしている。
カピバラの毛は速く水をはじく。あまり濡れた感じがしない。
打たせ湯をひと通り終わると
カピバラたちは小屋の前に集まって、ウワウ、と声を上げる。
食事の催促だ。
飼育員さんが扉を開けて、七夕飾りに使えそうなササを一枝持ってくる。
運動場のえさ場に置かれたササの葉をカピバラたち無心に食べている。
カピバラたちの仲は悪くないようだが、特に良さそうでもない。
一頭が早く食べるのに飽きて、もう一度湯舟につかる。
一頭の写真ではあまり絵にならない。
待つこと数十分。二頭目がやってくる。
できれば二頭か三頭が、頭を並べて気持ちよさそうにしてもらいたいが、
二頭の顔が反対向きだったり、湯にもぐって遊んだり、
ほんとうに気ままに食後の腹ごなしをしている。
三頭目はなかなか食事をやめない。
私と同じような望遠レンズを持った男性が一人、女性も一人、
カピバラの柵の前に居る。
太陽の光線の良い方向からは、湯舟の石垣が少し高い。
石垣の低い所は逆光になりやすい。
望遠レンズを持った三人の人間たちは互いに距離をとって遠慮しあいながら、
この場所でちょっと撮らせてくださいね、
と思いつつゆっくりローテーションしている。
三頭のカピバラはこんな風に思っているだろう。
あの三人もうちょっとまとまってくれりゃ、いい構図になるのに。