その486 軽ペン 2019.3.17
2019/03/17
気に入ったボールペンを使いだして10年以上になると思う。
少し太字のペンで、芯を替えながら使ってきたのだが、
最近何軒かの文房具屋さんに行っても、本体のボールペンが売られていない。
あまり売れ筋ではないのか。そろそろ製造中止になる?
では思い切って日常に使うボールペンを変えてみようと思った。
店にある何本かのボールペンで試し書きをしてみる。
すごく滑らか。その上インクの乾きが非常に早い。
これぞと思うものを買って使ってみた。
Pi社のA、U社のSやJ、Poペン、Z社のS、Pe社のEなど幾多のペンを購入してみたが、どうもしっくりこない。
どうもペンそのものが私には少し軽すぎて、ペン先が妙に踊ってしまう。
そんな頃書店で、「文房具の秘密」みたいなタイトルの本を見かけた。
記憶があいまいだが、ボールペンの項を開くとその歴史と発展が述べられていた。
万年筆のインクはどうしてもすぐには乾かない。
新聞の印刷には油性のインクが使われていて、
これを万年筆に応用しようとしたがうまくインクがペン先に伝わらず、一時開発は中断。
そのうちにペン先に埋め込んだボールで油性インクを出す方式が開発され、ボールペンの始まりとなった。
日本にボールペンが入ってきたのは戦後にアメリカ進駐軍が持ち込んでから。
そのうちに日本のPe社が水性ボールペンを開発し、書き味の滑らかさで大ヒット。
ただし、書いた字が乾くのに少し時間を要した。だいたいこんな内容だったと思う。
このあたりが私の今まで使っていたボールペンの時代。
確かに鉛筆の下書きをボールペンで清書し、鉛筆を消しゴムで消そうとすると、その場ではインクがこすれてしまう。
ところが最新の水性ジェル系インクは、ペン先からボールと紙の圧力で出されるときはサラサラの液体。
紙に触れるとゲル化して速乾性を発揮するらしい。すばらしい進歩だ。
つまるところ私は従来のPi社のペンの軸に、Pe社の水性ジェルのレフィルを入れて使っている。
レフィルはほぼペンに収まるが、ペン先がわずかに長く出るのでカッターで0.5mmほどレフィルの元をカットする。
持った時の重さはこれまでの感触と同じでちょうどよい。
ようやく落ち着いた感じだが、本体が発売中止になったらどうするの、という答えには結局なっていない。
作家のようにウンウンうなりながら文学作品を書くわけではないし、カルテに書きやすいペンであればそれでよい。
紙に字を書くことは以前に比べてずいぶん減っている。
文房具店で見つけたポスターにこうあった。
「紙は炎上しません」って。