その502 最近買った本 2020.9.11
2020/09/11
最近買った本3冊。
新聞の書評欄でディテールが素晴らしいと評されていた小説。
街並みの描写、海外の美術館の構造、展示してある絵画を細かに述べてその場に居るかのようだ。
だが、ストーリーの枝葉を全部読まされる。
話の幹が見えないし、進まない。
戦争での上層部の無謀な戦略、敵情を調査せず、
被害ばかりが多かった攻撃に憤りを感じて書かれた小説。
兵士の視点で書かれているのだが、特定の主人公がいないので、
読んでいる方はあちこちの部隊に配属されるように、小説の中をさまよわねばならない。
なかなか本筋へ入らない歴史小説。
毎朝、筮竹を握り吉凶を占う家臣。不吉な予感というが、なかなかその出来事が始まらない。
途中で読むのをやめてしまった。
小説は眠りと似ている。
スイっと寝入って途中で夢を見て面白く、時にはいやな夢のこともあるが、すっきりとした目覚め。
物語の導入が速やかで、途中の展開に飽きが来ず、最後まで読み切って心地よい読後感。
そんなことを言うなら書いてみろと言われそうだが、それは難しい。
小学校一年の時、お話を作りましょう、という課題が出た。こんな話を書いた。
ある一本の長い針が、店の針袋の中でのんびりと寝そべっていた。
お母さんが店にやってきた。
「針を一本くださいな。」と寝そべっていた針を買った。
お母さんは厚い雑巾を縫い始めたが、長い針はたまらずポキンと折れてしまった。
お母さんは「しょうがないわねえ。」と言って庭にポイっと捨てた。
庭にはどういうわけか磁石があって、
折れた二本の針は磁石でくっついて錆びてしまい、太くて短い針になりました。おしまい。
大体こんな話だったと思うが、なんだか先生に受けが良くて、
他の一人の同級生といっしょに、講堂で発表したのを覚えている。
それ以後、話の創作をしたことがない。
売れっ子の女流作家さんがラジオ番組のゲストで話していたのを聞いた。
ずいぶん前の再放送だったと思う。
創作に行き詰まると、パーッと遊びに行っちゃう作家さんもいるけれど、
自分は遊びに行くとそれで終わってしまって、次の創作のエネルギーにならない。
机に座ってウンウンうなっていると、何か展望が開けてくるのだそうだ。
行き詰まることは、どんな仕事でも日常生活でもあることだ。
気分転換は必要だと思うが、何とかならんかと四苦八苦していると、
ゴロッと歯車がいい方に回ることがある。
幸運は準備のできたところに降るという。あきらめないことが肝心のようだ。
今日は何を書いているのかさっぱりまとまらない。やはり作家は無理だ。