その509 書店点描 2021.8.1

2021/08/01

 ある医療系の情報誌を見ていると、古くからの友人の記事があった。
この春に院長に就任したとのこと。おめでたいことだ。
彼とは中学高校の同級で、文字通りの秀才であった。
大学受験は一浪しているが、彼は宅浪(蛇足ながら、自宅で勉強し予備校などに行かないこと)で、
目指す難関の医学部に合格した男である。
頭の切れと粘り強さを兼ね備えた人物なので、きっと難しい局面も乗り切って
病院組織を立派なものに導くものと思う。
 
 我が身を振り返れば、ストレスのたまる日々である。
多い時には半日ごとに悩ましい課題が発生する。
コロナ禍でもあり、ストレスの発散しにくいこの頃。
飲みにも行けないので、書店に行くことが息抜きである。
 
 まず医学書の新刊コーナーを見る。
内容の充実した本は買っておかないと、次にいつ入るかわからない。
並べてすぐに売れた本は良い本であり、早く次を仕入れて並べればよい、
と思うのだが、書店にはあまりその気がないようだ。
私が買って棚から消えた本はなかなか次が入荷しない。
ということはその本は人気がない? 
そんなことはないだろう。
 
 医学書の次は地元関連の書籍、文庫本などを見回るのだが、
買う気にさせる書店と、そうでない書店があるように思う。
書棚の間隔、照明、本の分類と並びなどが影響するのだろうか。
 
 たくさんの本が並んでいるのは良いことだが、
書棚に適当な間隔がないと図書館の書庫のようでいけない。
眼鏡をかけてはいるが老眼なので、距離がないと背表紙の文字は見えにくい。
照明は明るめの方がよいと思うが、これも自分の視力のせいかな。
 
 本の並びは一概には言えない。
文庫本は出版社ごとに並んでいることが多いが、その垣根を取っ払って作家別に並べるのも良い。
背表紙がデコボコにならないよう美しく整頓されていると、書店のやる気を感じる。
平積みの本も同様に崩れや乱れがないように整えたい。
乱れを見ると私は整えたくなるし、実際にチョコっと直すことがある。
 
 書店の出口でお世話になるのがレジだ。
最近はセルフレジの店もあって、私だってバーコードを赤い線の出る機械で読み取ることはできる。
お金を機械に入れて釣り銭がジャラっと出てくるのを右手で丸めるように取る。
代金は払っているのだが、何だか本を持ち出しているような気持がする。
レジにいる店員さんに
「カバーはお付けしますか?」「袋はお入り用でしょうか?」と聞かれて、
答えはいずれも「いいえ」なのだが、
「ありがとうございました」と言われると、また来ようと思う。
 
 院長になった友よ。君のストレスの解消法は何?