その541 植木屋さん 2024.8.10

2024/08/11

 この季節、植木の剪定の時期のようだ。
私の住む集合住宅にも植木屋さんが連日来て
桜やエゴマなどの枝や植え込みのササを刈り込んでいる。
剪定の終わった桜の幹は風通しがよくなって、
鳴いているセミがちょっと恥ずかしそうだ。
 
 私の実家に梅の木がある。
早春にはたくさんの花をつけて見事なのだが、
花が終わると長く垂れた枝に葉があっという間に繁り、
盛り上がる長髪のようになってしまう。
 
 道路側に伸びた枝は通行の邪魔になるので、
梅雨明けの前後に二度、素人ながら枝をちょんちょんと切り落とした。
これが思った以上に大変な作業。
ホームセンターでいわゆる高枝切りばさみを購入。
切るのはいいが、切り落とした枝の始末をせねば。
拾い集めて紐で括ってビニール袋に入れようとするが、梅の枝は結構固い。
枝分かれをさらに切っておかないとビニール袋を突き破る。
ワサワサしているうちに葉が落ちる。
ほうきとチリトリはどこだ。
山へ登るよりも大量の汗をかいてクラクラしてきた。
取りあえず落とした枝を塀の中に運んで、その日の作業を終了。
 
 梅の手入れをネットで調べてみると、
暑い盛りを過ぎてから剪定を、とあった。
翌年の芽が花芽になるか、葉の芽になるか、
梅の木が決めるのが夏頃なのだそうだ。
早くに切ってしまうと梅の木は、
「これは大変、がんばって繁らなきゃ」
と考えて翌年は葉の芽ばかりになるらしい。
しまった、来年はあまり花が咲かないかも。
 
 青菜という落語。
植木屋が仕事で入ったお庭の縁側で、酒や魚をごちそうになる。
「植木屋さん、菜をおあがりか。」と聞かれて
「好物で」と答えたが、その家では菜を切らしている。
奥方「鞍馬から牛若丸が出でまして、名を九郎判官」。
旦那「そうか、では義経にしておけ」。
菜を食べてしまいました、では、よしにしておけ、
という旦那夫婦の隠し言葉であることを教えてもらった植木屋。
家に帰ってさっそくやってみた。
 
 奥さんを押し入れに隠れさせて、熊さんが通りがかったのを呼び入れる。
「ところで熊さん、菜をおあがりか。」
「おれは、菜は大嫌いだ。」
「そういわずに、食ってくれよ。」
「何だか知らねえが、いいよ食ってやるよ。」
「これ、奥や。熊さんに菜をお出ししろ。」
「おいおい、奥さん汗だくじゃねえか。」
奥さん「鞍馬から牛若丸が出でまして、名を九郎判官義経。」
植木屋「ううっ、うーん、、、では弁慶にしておけ。」
 
 梅の枝切りの後、冷たいビールにすっきりとした青菜もいいけれど、
やっぱり夏は枝豆ですね。
私はアツアツの枝豆が好きです。
 
ゆで枝豆、なお さねを吹きても くろうて敦盛。
源平 一ノ谷の合戦の熊谷直実と平敦盛。ちょっと苦しいかな。