その543 卒業文集 2024.10.31
2024/10/31
あるご婦人から、
「先生のお父さんに書いていただいたものが出てきました。」
と言われた。
見せていただくと、ちょうどCDのケースぐらいの帳面であった。
見開きの両ページに青いインクで
詩のようなものが縦書きでつづられている。
このご婦人が中学校卒業の時に教師をしていた私の父に、
記念に何か書いてほしい、と依頼したもののようである。
次のページにはおそらく他の先生の文章がつづられているのであろう。
いわば先生の卒業文集である。
父の書いたものは、卒業するこの方の学校時代のことを想い、
これからの人生の仕事や幸福を願う内容であった。
多少、青臭い気味もあるが昭和26年、父とて24歳の青年教師である。
当時の先生と生徒が、深いつながりの空間にいるのを垣間見た気がした。
貴重なものを見せていただいた。ありがとうございました。
父はその後、教育系の大学へ再度進み、
大阪などで高等学校の教師をしている。
後に有名な体操選手が出た高校の体操部を作った、とも聞いた。(本人談)
このご婦人の一学年上に私の母がいる。
ある時、父がこう言っていた。
母との結婚式の日の午前中のこと。
地元の散髪屋に行った父に、店の主人が言ったそうだ。
「どこやろのお嬢さんが、今日、婚礼じゃそうじゃが、相手は誰じゃろ。」
「そりゃ、ワシじゃ」と父。
父さん、知ってるよ。
日記の見返しに写真があるよねえ。
母さんの高校時代のセーラー服姿の写真。