コーダ

2013/01/27

今日は当直明けで、午後からコンサートがあるので、私は早めに山へ出かけた。
近場の低山である吉良ケ峰を選択。
春野の地は暖かく、ホトケノザやナズナが早くも咲いている。
登山口から下の鳥居、石鎚神社の石碑がある上の鳥居を経て、ブンタン畑の縁を通って尾根道へ。
少々の急坂を登って横道となり、ほどなく山頂。
残念ながら樹が茂って見晴らしはなし。
コンサートで眠くなってはいけないので、昼食はオニギリを早めに食べて済ます。
空に向かって伸びる若い芽の写真を撮って下山開始。
ブンタン畑まで下りてくると、男性3人連れに出会った。
この山は初めてのようだ。
「ここに登る人がおるとは」と珍しそうに言われたが、お互い様である。

 

午後2時前にコンサート会場に入ると満員の人である。
満員の理由はヴァイオリニスト五嶋龍氏。
序曲と少々長めの解説トークの後、いよいよ五嶋氏が登場。
「白皙の人」の形容がぴったりの長身、白面の貴公子である。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲が始まる。
やや気難しい第一楽章の前半は、微妙な和音に私の耳がついていけず、
午前中の疲れが出てついウトウトしてしまう。
しかし眠気の出るのは演奏がエクセレントな証拠。

 

第一楽章のカデンツアから後のコーダはとても美しく、一気に目が覚めた。
続いて弱音の素晴らしい第二楽章、生き生きとした第三楽章まで
興奮しながら一気に聴いて、あっという間に終わってしまった。

 

演奏会の休憩時間に家内が「コーダって何?」と聞いてきた。
「曲の終わりに盛り上がる部分で、コーダ”coda”は”尾”のこと」
と答えておいたが、大体はそれでいいか。
ベートーヴェンの熱情ソナタの第三楽章の最後、
突然機関車みたいに両手が和音を叩き始めて怒涛のように終わるのが、
ピアノ曲ではわかりやすいコーダだ。
codaの起源となるラテン語はcaudaのようで、医学用語ではその名の通り「尾」を意味する。

 

この日のプログラムの本命であるベートーヴェンの交響曲第5番「運命」も素晴らしく、素直に感動した。
アンコールも演奏されたが、ブラームス、ベートーヴェンの印象が心地よく尾を引いていた。
今日の自分の下手なピアノの稽古は、当然のことながらお休みである。


コメント

今はやりのイタリア料理で、
「バーニャ・カウダ」というのがありますが、
このカウダとコーダは関係ないようです。
北イタリアのピエモンテ語で「バーニャ」はソース、
「カウダ」は熱いという意味だそうです。
野菜のしっぽにソースをつける、のかなと思ったのですが。