虫垂炎日記
2006/05/24
このほど、虫垂炎(俗に言う盲腸)で手術をしてもらいました。かいつまんで、報告いたします。
ある日、午前中から、なんとなく腹の調子がおかしく、ゾワゾワする感じだった。
午後から腹痛が少しずつ強くなる。一時冷や汗が出て、職員から真っ青ですよと、と言われた。
その後、気分不良は少し軽減。夕食は飲み物だけ。
急性胃腸炎かと思ってさっさと寝てみたが、痛みは徐々に右下腹部に強くなる。
自分で腹を押すと痛い。これを圧痛という。
押した腹をポンッと放すとビビッとまた痛い。これを反跳痛という。
痛い場所は右の下腹部。そう、答えは虫垂炎。
暗闇の中、転々としながら、この診断に間違いはないが、
今週は出張予定があり手術は避けたいと考えていた。
翌朝、痛みはあまり強くなく、歩ける。ただし下腹に力を入れたい感じ。
職場の病院で白血球と炎症反応(CRP)を検査。なんと白血球は17800!!、CRPは12.7もある。
なんとか散らせられないものかと考えて、抗生剤の点滴をしたものの、
ふつう白血球17800はオペ適応でっせと考え直す。知り合いの外科医に電話。
「あのな、自分がアッペ(虫垂炎)みたいなんやけど。」
「診てみよう。」
とのことで、入院の準備をして某病院へ。
診察の結果、「普通に考えるとアッペやね。抗生剤で様子をみるか、オペか、どうする?」とのこと。
再発するのはイヤだから、手術を頼んだ。予定手術が入っていて、オペ室はいっぱい。
点滴をしながらしばし待つこととなる。下着をT字帯(紙のフンドシ)に替えて、前を剃られた。
手術室に入ったのは午後4時前。手術台に寝て、両手を十字にひろげ、点滴から静脈麻酔の薬が入る。
眠くなったと思うと酸素マスクから少しにおいのある気体が流れてきて、、、、。後は覚えていない。
「そんなことしてたら、間に合わんやないか。」と、職員に小言をいっていると、
脇から、「もっと早く病院行かんから。」と家内の声が聞こえてきた。
ああ、小言をいったのは夢の中か、と思って目が覚めた。
病室のベッドで、酸素マスクが着けられている。のどが痛いし、乾く。寒い。
尿道口が痛く、排尿したい。
「だいじょうぶですよ、管が入ってますから。」と看護師さん。
あんまり「だいじょうぶ」ではないのだけれど。
家内の話では、かなり熟した虫垂炎で、穴があいてたそうだ。
外科医に翌日聞くと、
「けっこういってたよ。虫垂間膜に小さいが膿瘍もあった。全麻でやってよかった。
ドレーンいれといたから。」とのこと。
ドレーンとは、術後に出る液を体の外に出す管のこと。単純な虫垂炎では、ふつう入れない。
その夜は酸素マスクをつけてうつらうつら。寝返りはほとんどしなかったが、動こうとすると痛い。
夜中に熱が38.4度まで上がり、座薬を入れてもらった。
確かに、座薬はヤワに入れてると肛門からまた押し出されるが、もちょっとやさしくお願いね。
術後1日目、酸素は終了、尿の管も抜いて、昼から3分粥、どんどん動いてよいという。
よいと言われても、午前中にできたのは、ベッド柵につかまってなんとか上半身を起こしただけ。
電動ベッドの力を借りても良かったが、なんとなく根性出してみたかった。でも、数分でダウン。
昼食が運ばれて来る。
「どうぞ、召し上がってください。」と栄養関連の職員さんがにこやかに運んでくれるが、
手の届かないオーバーテーブルの上に置かれても困るんだがな。
幸い、直後に看護師さんがやってきてベッドで食べられるようセットしてくれた。
すわってなんとか食べる。お粥は嫌いだが、スープはおいしい。
飲み込んだ食事が腸を通ると、グルグルと痛い。虫垂周辺にも炎症はあったのだから仕方あるまい。
術後2日目にドレーンを抜いた。ずいぶん動くのが楽になった。
最近の外科手術は以前と変わった。
ドレーンの部分は出てきた液を溜める袋が腹壁に張り付けられている。
ひたすらガーゼ交換とイソジン消毒は一昔前の話のようだ。
切開した傷にも、テガダームというテープが張られていて、汚染、感染の兆候がなければそのまんま。
術後3日目、採血をした。午後、外科医が結果を説明しようと言う。
病室から少し離れた別室へ行くのだが、彼の足についていけない。
自分も患者さんに、こちらへどうぞ、と言ってドンドン先へ歩いていたのだろうなあ。
白血球は8000程度、CRPはまだあるが、明日退院してもよい、と言ってくれた。感謝、感謝。
医学が進んだ現代だからこそ、「盲腸の手術」といえば簡単な手術の代名詞となったが、
安全な手術、麻酔、抗生物質の開発が未発達であった近代においては、
虫垂炎は死亡率90%の病気であった、と何かの本で読んだ。
お世話になった病院の先生方、看護師さん、その他いろんな職種の方々、ありがとうございました。
御迷惑をおかけした当院の患者さん、すみませんでした。
当院の職員が贈ってくれたお花と添えられた言葉には、目がうるむくらい力づけられました。
そして心配と手間をかけた家内と息子、見舞ってくれた親類の方々、本当にありがとうございました。
コメント
5日ほどの入院でしたが、4-5kg体重が落ちました。
家内は「それキープ、キープ」といいますが、傷が気になってあまり動かないのに、食べる量が回復しているので元に戻るのは時間の問題と思われます。